帰ってきたレッドセンセーション
−オリンピック後の中国を読み解く−

石田 高聖

著者プロフィール

田代尚機

1984年大和証券入社。その後、大和総研に出向。1994年より大和総研の代表として北京に駐在、以後中国株アナリストとして各メディアで活躍する。 2003年内藤証券入社、中国部長に就任。現在、中国経済アナリストとして中国市場を分析している。

第1回 中国にとってのオリンピックの意味(前半)

 通称「鳥の巣」と呼ばれるオリンピックメインスタジアム。8月29日午後6:00頃の建設現場はご覧のとおりである。鳥の巣の骨格がようやく出来た段階で、その周辺は採掘現場のよう。これで来年8月8日の開催に間に合うのだろうか。ちょっとハラハラしてしまう。夏休みの宿題は8月31日までに済ませばいいんだろうというその態度、いかにも“大陸的な”やり方が、私にはとても好感が持てる。

 筆者は、これまで“中国人は日本人が想うほどオリンピックに対して特別な思い入れはない”といい続けてきた。しかし、開催まで1年を切った今、少し様子が変わってきたようだ。ようやくマスコミもやる気を見せ始めたようで、北京でみたテレビではオリンピック関連の番組が放映されていた。もっとも、内容はギリシャオリンピアの歴史を紹介したものであったが・・・。

 中国にとってオリンピックとは、どんな意味を持つのであろうか。単なる世界規模の運動会に過ぎないのか。経済浮揚効果は無視できるほど小さいのか。オリンピック閉幕後、本土株式市場は暴落するのか。バブル経済は崩壊するのか。人民元はどうなる。米国との関係は。日本との関係は。台湾、アセアンなど周辺国とは・・・。日本人の常識を捨てて、日本の経験を無視して考えてみよう。

 そもそもオリンピックは経済を拡大させる目的で行うものではないだろう。関連設備の建設には、出来る限りコストをかけず、効率的に行うことを考えるだろう。北京での開催で一番のネックとされたのは大気汚染。だから環境対策としての投資がなされている。また、北京市内の交通渋滞は深刻である。渋滞緩和を目的に道路整備も行われている。これらはあくまで北京市の投資であって、中国全土にわたる投資ではない。

 中国は日本と比べ、現実主義者がとても多い。国威発條とは無縁、イデオロギーに最も感化されにくい人々だと思う。そんな中国人だから、オリンピックを感情的に捉えるのではなく、現実的に捉えるはずだ。オリンピックというイベントを絶好のビジネスチャンスとして捉えるはずだ。しかし、彼らは口を揃えてオリンピックでは儲からないと断言している。

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