田代尚機のweb連載

帰ってきたレッドセンセーション
−オリンピック後の中国を読み解く−

石田 高聖

著者プロフィール

田代尚機

1984年大和証券入社。その後、大和総研に出向。1994年より大和総研の代表として北京に駐在、以後中国株アナリストとして各メディアで活躍する。 2003年内藤証券入社、中国部長に就任。現在、中国経済アナリストとして中国市場を分析している。

第4回 オリンピックの経済効果(後半)

 もう少し別の視点でオリンピック効果を検証してみよう。海上スポーツ、サッカーなど一部を除き、ほとんどの競技が北京市で行われる。その北京市の名目GDPは7,720億元(2006年)で、全国合計の3.4%に過ぎない。2002年〜2006年までの固定資産投資累積額は全国合計の3.4%に過ぎない。また、人口は1,581万人(2006年)で、総人口の1.2%に過ぎない。

 現在実行中の第11次五カ年計画では、鉄道への投資が重点的に行われている。北京市が関連するプロジェクトもある。また、北京市、天津市、大唐市を結ぶ地域を大工業地帯にする構想がある。しかし、これらはオリンピックとは無関係である。北京市への集中投資が他地域の経済発展を促すだろうか。中国は大国であり、地域間の経済の結びつきは弱く、大きな波及効果は望めそうもない。

 北京市での開催が決まったのは2001年夏。そこで2001年と2006年の間で名目GDPがどれだけ増えたかを計算してみた。この5年間で、全国合計では111.4%増加したのに対して北京市は108.1%の増加にとどまる。また、2002年から2006年までの固定資産投資の伸び率をみると、2002年こそ全国平均を若干上回ったが、2003年〜2006年まではすべての年で北京市の固定資産投資は全国平均を下回っている。

 どの角度からみても、オリンピックが中国経済を牽引などしていない。中国全体はおろか北京市ですら平均以下の成長しかしていない。ならば、オリンピックが終わったという理由で景気が落ち込むことがあるのだろうか・・・。もっとも、オリンピックが近づけば、スポーツブームが沸き起こるかもしれない。世相が明るくなって、消費が高まるかもしれない。そのぐらいの効果は期待してもいいだろう。

 でも、ちょっと変ではないか。2006年だけの統計で再確認してみると、北京市の名目GDP成長率は12.1%。十分高い数字だ。ところが、これは31地区中最下位である。“テストで90点取ったのに、クラスの平均点は95点だった”みたいなことが起きている。どうしてクラスのみんなはそんなに高い点数が取れるのだろうろうか。そこに中国株投資を勧める最大の理由が隠されている・・・。

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