田代尚機のweb連載

帰ってきたレッドセンセーション
−オリンピック後の中国を読み解く−

石田 高聖

著者プロフィール

田代尚機

1984年大和証券入社。その後、大和総研に出向。1994年より大和総研の代表として北京に駐在、以後中国株アナリストとして各メディアで活躍する。 2003年内藤証券入社、中国部長に就任。中国経済アナリストとして中国市場を分析している。

第5回 中国経済はバブルではない(前半)

 中国の経済成長率が10%を超えるようになって、今年で5年目。なぜこんなに高い成長が続くのだろうか。日本の高度経済成長は30年以上も昔の出来事。経済は高度にグローバル化、自由化し、IT技術が飛躍的に進歩している。中国経済を分析する上で、果たして日本の経験は参考になるのだろうか。オリンピック、バブル経済・・・。日本の経験にとらわれ過ぎていては、真実は見えてこない。

 まず、成長要因について少し定量的に分析してみよう。GDPの定義を示せば次の通り。GDP=消費+投資+輸出−輸入(政府部門は各需要項目に分散して含まれる)。だから、GDPの増加分は、消費、投資、輸出、▲輸入の増加分の総和に分解できる。1年間の名目GDP(支出側)の増加分を100%として、1991年から2006年までの16年間における各需要項目の変化を調べてみた(グラフ参照)。

 ここ5、6年、消費の寄与率は低迷、投資と輸出の寄与率が高まっている。最近の成長はこの二つの需要項目が牽引しているといえよう。一方、輸入については、03年をピークに寄与率の絶対値は減っている。これも経済成長に貢献している。外需(商品サービスの純輸出≠輸出−輸入)でみると、その比率は2005、2006年と大きく増えているが、それでも投資と比べるとかなり小さい。

 もう少し、別の数値で分析してみよう。中国における2006年の投資比率(対支出側名目GDP)は42.7%、輸出比率は35.2%。日本と比較すると、前者は24.1%、後者は16.1%に過ぎない。ちなみに、1964年における日本の投資比率は34.6%、輸出比率は9.5%。1989年では投資比率は31.3%、輸出比率は10.6%。この数値だけみても、現在の中国は高度経済成長時代やバブル時代の日本とは異なっている。

 中国は日本の高度経済成長期を凌ぐ勢いで投資を行うと同時に現在のEU各国並みかそれ以上の貿易立国を成し遂げている。また、別の見方をしてみよう。GDPは、技術進歩、資本、労働力の関数で表される。中国では、有り余る労働力、世界中から集まる豊富な資金と高い技術によって大きく成長している。つまり、中国は、世界経済のグローバル化を最大限に利用して成長している国であるといえよう。

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