
著者プロフィール
田代尚機
1984年大和証券入社。その後、大和総研に出向。1994年より大和総研の代表として北京に駐在、以後中国株アナリストとして各メディアで活躍する。 2003年内藤証券入社、中国部長に就任。現在、中国経済アナリストとして中国市場を分析している。

ここで投資に絞って話を続けよう。2006年における都市部の業種別固定資産をみると、製造業が全体の28.2%、不動産が22.9%、鉄道・道路・運輸が11.9%、電力・エネルギーが8.8%、水利・環境・公共事業が8.0%、鉱業が4.5%を占める。ちなみに、これらの6項目で全体の84.3%をカバーしている。製造業の中では、化学、鉄鋼、非鉄金属、輸送機器、通信設備・電子部品などの比率が大きい。
過去3年間の伸び率をみると、ウェイトの大きな製造業がおよそ30%〜40%で推移している(グラフ参照)。不動産業や鉄道・道路・運輸なども20〜30%と十分高い伸びを示している。不動産や鉄・アルミ・セメントなど一部の業種での過剰投資が指摘されて久しい。しかし、インフラ投資も高い伸びを示しており、全分野で総花的に投資が増えているといった感じである。
2001年と2006年の2時点間で、各地域の名目GDPがどれだけ伸びたかを調べてみると意外なことがわかる。31地区中のトップ5を羅列すると、内蒙古自治区、山東省、山西省、江蘇省、浙江省。この中には、西部大開発政策の中核地域となる重慶市、四川省は含まれていない。東北振興政策にしても同じ。中核となる遼寧省、黒龍江省の成長率はむしろ非常に低い。
資源開発が進む内蒙古自治区や山西省。江蘇省、浙江省、山東省などの沿岸地域。これらの地域が上位を占めている。沿海地域の発展が内陸地域と比べてとりわけ速いわけではない。広東省はかろうじて上位(9位)だが、北京は真ん中(15位)あたり、上海はむしろ下位グループ(22位)である。中央政府は大規模な内陸地域の開発を進めているが、だからといってそうした地域が経済を牽引しているわけでもない。
投資の増加は果たして計画経済の成果なのであろうか。幅広い産業で投資が活発となっている。成長率の高い地域は、中央政府の思惑通りに、沿岸地域から内陸地域へと移行しているわけではない。中央政府がマクロコントロールと称される産業政策を実施しながらも、地方政府や企業が比較的自由闊達に投資活動を繰り広げた結果として中国は高い成長を遂げている。中国経済の“懐”は深い。
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