田代尚機のweb連載

帰ってきたレッドセンセーション
−オリンピック後の中国を読み解く−

石田 高聖

著者プロフィール

田代尚機

1984年大和証券入社。その後、大和総研に出向。1994年より大和総研の代表として北京に駐在、以後中国株アナリストとして各メディアで活躍する。 2003年内藤証券入社、中国部長に就任。現在、中国経済アナリストとして中国市場を分析している。

第7回 成長について考える(前半)

 今でも1〜2ヵ月に一度の割合で中国を訪れているが、直感的に感じることがある。それはどこに行っても以前と様変わりしていること。北京には頻繁に訪れるが、それでも毎回どこかしら、街の様子が変わっている。地方都市であれば訪れる回数が少なくなるが、その分訪れていない間隔が長くなる。変化が激しすぎて、まったく違うところにきているような感覚に陥ってしまうことが多い。

 街の中心部には、オフィスビルが乱立し、マンションが急増、密集地域が広がっている。1999年以来、次々に空港が大改修され、近代化されている。空港から市内に入る有料道路、街中の幹線道路が整備され、主要都市間を結ぶ高速道路が開通、交通の便が格段によくなっている。かつてはどの街に行っても、南方であれば南方の、北方であれば北方の風情が感じられたものだ。主要都市ではそれがどんどん薄れている。

 こうした投資において地方政府の働きは大きいが、中央政府のバックアップも見逃せない。海に面した沿岸地域では、経済発展の条件が揃っており、対外開放政策の恩恵を受けて、大きく発展した。一方、内陸は経済発展の条件がそろわず、立ち遅れるばかり。そこで1990年代半ばから西部大開発、2000年代前半には、東北振興、中部崛起など、中央政府による内陸振興が始まっている。

 内陸の発展が実際中国全体の経済を牽引しているのか調べてみると、意外なことがわかった(図1参照)。2001年以降、地域をブロックごとに区切り成長率を比べると、内陸の成長率は決して高くない。プロジェクトとしては最も歴史の古い西部ですら、成長率が平均に勝てる年は少ない。ブロックごとの成長率格差は小さいものの、それでも沿岸地域が経済を牽引しているようにみえる。

 一方、投資に限って調べてみると、ずいぶんと印象が違ってくる(図2参照)。2003年を除けば、内陸の固定資産投資増加率は沿岸地域よりもおおよそ高い。西部の増加率は平均と比べ、それほど大きな差はない。しかし、東北、中部においては、2004年以降非常に高い増加率となっている。逆に沿岸地域の増加率は2004年以降平均を下回っている。これをみれば、内陸での投資が経済を牽引しているともいえる。

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