
著者プロフィール
田代尚機
1984年大和証券入社。その後、大和総研に出向。1994年より大和総研の代表として北京に駐在、以後中国株アナリストとして各メディアで活躍する。 2003年内藤証券入社、中国部長に就任。現在、中国経済アナリストとして中国市場を分析している。

現在の経済成長の両輪は、輸出と投資である。輸出産業が圧倒的に強いのは沿岸地域。外資を中心とした加工組立産業に従事する企業や裾野産業を支える比較的経営の自由度の高い国内企業が沿岸地域の経済を牽引している。投資の増加率は平均以下であるが、輸出や消費が伸びることによって、高い成長率を達成している。一方、内陸は地方政府や中央政府のリーダーシップにより、投資が拡大することで経済が成長している。
内陸での投資とは一体何なのだろうか。視覚的にもよくわかるのは、インフラ投資と不動産投資。しかし、これらは沿岸地域でも同じで内陸特有の現象ではない。内陸に共通した特徴がある。それは資源が豊富にあることである。たとえば内モンゴル自治区は石炭資源の豊富な地域であるが、ここでは石炭開発が急速に進んでいる。また、四川省、新疆ウイグル自治区などでは油田、天然ガス田の開発が進んでいる。
製造業、たとえば鉄鋼では、鞍鋼は遼寧省、武鋼は湖北省に工場がある。ここでの大規模投資は内陸での投資となる。最近、広西壮族自治区の経済成長率が非常に高い。広東省の後背地に位置する同自治区は交通の便がよい。ベトナムなどアセアンへのアクセスもよい。人件費の安いこともあり、広東省から投資がシフトしているようだ。また、中国全体で鉄道開発が進んでいるが、これもかなりの部分が内陸での投資となる。
非鉄金属、機械、セメント、化学などの投資も決して沿岸地域に集中しているわけではない。産業の成熟度、国内の技術レベル、労働生産性などいろいろな面から考えてみても、潜在的な投資需要は大きいと言えそうだ。各産業がちょうど“育ち盛りの年齢”に達してきたともいえよう。これからも全面的に投資が伸びるはず。金融もそれに応えられるだけの力を蓄えつつある。
農業問題、地域格差問題。これらは積年の課題であり、処方箋がなかなか見つからないが、最終的には内陸が都市化することによって解決されるだろう。投資は今後も経済を牽引し続ける。一方、輸出は落ち着き、少しずつ消費のウェイトが高まろう。現在は過渡期である。表面上は依然として沿岸地域が経済を牽引しているが、水面下では既に内陸の台頭が始まっている。
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