
著者プロフィール
田代尚機
1984年大和証券入社。その後、大和総研に出向。1994年より大和総研の代表として北京に駐在、以後中国株アナリストとして各メディアで活躍する。 2003年内藤証券入社、中国部長に就任。現在、中国経済アナリストとして中国市場を分析している。
11月上旬あたりから12月後半にかけて、本土の株式市場は一旦調整したが、これは金融引き締め政策が強化されるのではないかといった懸念が市場に広がったからである。実際、12月3日から5日にかけて開かれた経済工作会議では、金融政策をこれまでの“穏やかな引き締め”から“引き締め”へとワンランクアップさせている。こうした政策変更を行わざるを得なくなった要因は“インフレの進行”である。
今回の景気は99年がボトムであり、8年もの間、ほぼ一貫して経済成長は加速している。この間のCPIの動きをみると、2001年、2004年と2つのピークがある。そして今回が3度目のピークを迎えようとしている(ひょっとしたら、ピークは過ぎているのかもしれないが・・・)。今回の上昇は循環的なものなのか、あるいは構造的なものなのか。もし後者であり、この先、上昇が止まらないのであれば、厳しい引き締め政策を打たねばならず、その結果、経済はハードランディングしてしまう可能性が高くなる。今後の経済の動向は物価の動向次第である。
11月の消費者物価指数(CPI)は6.9%上昇し、約11年ぶりの高水準を記録した。しかし、その中身は全面的に上昇しているわけではない。CPIは8項目からなるが、内、プラスであったのは食品18.2%、住居関連6.0%、保健医療・身の回り品3.1%、耐久消費財1.9%、酒・たばこ1.8%の5項目。一方、教育娯楽▲0.5%、交通通信▲1.4%、衣料品▲1.4%など3項目がマイナスであった。
食品を更に分解してみると、豚肉56.0%、鶏肉など38.8%、油35.0%、野菜28.6%などが際立って高いが、果物は12.9%、水産物は6.8%、穀物は6.6%である。不動産価格が上昇しているとはいえ、住宅賃貸料は4.6%である。そのほか、上昇が目立つものは水道・光熱費5.6%、建材5.2%ぐらいである。これだけみれば、豚肉を中心とした一部の食品が上昇しているから物価が上昇しているのだといえそうだ。
豚肉についていえば、一昨年は供給過剰であった。輸入される飼料価格が上昇したこともあり、農家は生産調整を行っていた。そこへ、昨年春から夏にかけて、突如として疫病がはやったため、供給量が大きく減ってしまい、価格が急騰したのである。野菜、油については、天候不順、生産調整などが原因である。こうした要因で食品価格が上昇しているのであれば、いずれは落ち着くはずであり、物価上昇は悪性ではないといえそうだ。
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