
著者プロフィール
田代尚機
1984年大和証券入社。その後、大和総研に出向。1994年より大和総研の代表として北京に駐在、以後中国株アナリストとして各メディアで活躍する。 2003年内藤証券入社、中国部長に就任。現在、中国経済アナリストとして中国市場を分析している。
前回、政府による株価の操作について触れたが、そもそも株価は操作すべきものだろうか。もちろんこの場合の操作とは、政府が個別株の株価を操作するといった意味ではなく、相場全体を安定させるために行う行為を指す。“市場への関与は最小限にとどめるべきで、市場参加者がルールを守らなかったり、何らかの理由で円滑な取引が行われなかったりした場合のみ、政府は最小限の程度をもって、市場に介入すべきだ”というのが我々のコンセンサスではなかろうか。

ただし、各国の市場を見る限り、必ずしもそうではないらしい。米国市場は、世界でもっとも自由な取引が保障されていると考える投資家は多いようである。しかし、実際の米国市場は「下落しにくくしている市場である」といった意見もある。
欧米系証券会社の事情に詳しい筆者の大先輩(某大学教授)の話によれば、米国SECは証券会社がまとまった空売りを出した場合、頻繁に聞き取り調査をするそうだ。ブラックマンデーの教訓が生かされた結果、制度的にも株価が下落するのを抑えるような仕組みとなっているようなのだ。
現在のサブプライム問題に関して、報道にバイアスがかかっているという意見もある。つまり、マスコミはネガティブな記事に対して手加減して書いている。こうした話が真実かどうか筆者には判断しようがない。ただし、事実として、NYダウの動きは極めて穏やかだ。サブプライム問題の震源地である米国の株価がなぜこの程度の下げで済むのか、よく考えてみる必要があるだろう。
その点、中国は極めてあからさまだ。株価が上がれば政府要人は投資家に注意を促し、株価はバブルであるとさえ言う。口先介入で収まらなければ、印紙税を引き上げる、株式ファンドの新規設定認可を出さないなど、いろいろな方法で下げようとする。上げる場合も同様だ。
政府が介入しなければ、大きな時間軸でみれば、ボラティリティーはもっと大きくなっていたのかもしれない。しかし、中国政府が株価対策を行えば行うほど、その瞬間、株価は乱高下する。それが実態である。最も重要な点は、その効果が長続きしないことである。結局、下げ相場の中での政策発動であれば、発動後に高値で買うと評価損をかかえてしまう。逆に上げ相場であれば、格好の買い場となる。
この点に関していえば、望ましいこともある。政府の政策、投資家動向をきちんと把握していれば、非常に大きく儲けるチャンスがあるという点だ。
もちろん、これはA株市場での話。しかし、B株はA株との連動性が高い。香港上場の中国株も最近はますます本土株式市場との連動性が高まっている。A株の動きを見ながら、大きなうねりに注目し、目先にとらわれないように心がければ、大きなキャピタルゲインを得るチャンスがあるはずだ。
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