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ベトナムの概要

概要

ベトナムは、インドシナ半島東部に位置する社会主義共和国。首都はハノイです。南北にS字型に長く伸びた国土が特徴的で、面積は32万9,315万平方キロメートル。これはほぼ、日本の国土から九州を除いた面積に相当します。 

北は中国、西はカンボジア、ラオスと国境を接しており、東シナ海に面した300キロを越える海岸線にはニャチャンやクイニョンなど、世界的に有名なリゾート地やビーチが多く点在しています。

人口は約8300万人(2005年)。半数近くが20歳未満の若年人口で構成されており、国民の大部分が農村に生活基盤を持っています。北部のハノイ(約300万人)、南部のホーチミン(約555万人)、中部のダナン(約80万人)といった都市に人口が集まっています。


ベトナムは南北に長い国土で、気候は北部・中部・南部でかなり違いがあります。南部は5月から10月が雨季にあたり、気温は一年中常夏。雨季に入る前の3月から4月は降水量も少なく、一年のうちで特に暑い時期です。

中部では9月から12月にかけてが雨季で、洪水災害になるほどの雨が降ることもあります。北部は南部同様5月から10月までが雨季にあたり、夏場の気温は30度を超えますが、10月から2月にかけての冬場は15度以下まで下がることもあります。


国民の約8割が仏教徒ですが、儒教・道教・民間信仰と融合し、各宗教が重層的に崇拝の対象となっています。また、長年にわたる中国支配から、長幼の序を重んじるなど儒教的な面が色濃く残っています。家族・血縁同士の絆が強いのも特徴です。
ベトナムは「稲作文化」が社会の基盤をなし、古くから農村共同体が緊密な結びつきを作ってきました。しかし86年に始まったドイモイ政策以後、諸外国の文化や思想が数多く流入し、こういった文化も変容しつつあります。


面積  32万9,315万平方キロメートル(日本の約90%) 
人口  8,312万人(2005年末) 
人口増加率   人口増加率:1.33%(2005年) 
首都  ハノイ 
人種  キン族(越人)が人口の約86%を占める。ほかに53の少数民族がある 
言語  ベトナム語 
宗教  仏教(80%)、カトリック、カオダイ教ほか 
教育  5(小)、4(中)、3(高)制。義務教育は小学校のみ 
気候  北部・亜熱帯/南部・熱帯モンスーン帯 
日本との時差  マイナス2時間(日本が正午のときベトナムは午前10時) 
通貨  ベトナム・ドン(1ドル=16,088ドン、1円=137ドン)<2006年11月2日現在> 

歴史

ベトナム社会主義共和国は1976年7月2日、分裂していた南北ベトナムの統一によって建国されました。それ以前にもベトナムは長い歴史を有していますが、大部分が外部勢力による侵略と支配、それに対する抵抗と独立をめざす戦いの歴史であったといえます。

紀元10世紀、この地域の人々は千年を超える中国支配から独立します。

しかし実際はその後幾度も中国王朝からの干渉を受けました。その中で次第に南方に進出してゆき1802年、阮(グエン)王朝により全国統一がなされます。

しかし1887年にはフランスの保護領となり、第二次大戦中は日本が占領。終戦の1945年、北部でホー・チ・ミンを首班とするベトナム民主共和国が独立を宣言しますが、支配の回復を目指すフランスとの間にインドシナ戦争が勃発します。これは1954年のジュネーブ協定によって、北緯17度線を境にベトナムの国土を南北に二分して停戦となります。

北部ではベトナム民主共和国(北ベトナム)、そして南部では1955年にアメリカの支援によりベトナム共和国(南ベトナム)が成立しました。
その後、北ベトナムは社会主義社会の建設を実施します。 そして1960年、北ベトナムは社会不安の増大していた南ベトナムの解放と社会主義国家の建設を謳い、南ベトナム解放民族戦線の闘争を指導し始め、これがベトナム戦争に発展します。
1965年に米軍が直接介入を始めましたが1973年の和平協定により撤退。1975年のサイゴン陥落により南ベトナム政府は崩壊し、1976年、南北ベトナムの統一が実現しました。

統一後、ベトナムは「ベトナム社会主義共和国」となりました。
その後1978年カンボジアへ侵攻した第三次インドシナ戦争、翌年の中国との戦争によりベトナムは各国から孤立します。また南北統一後のベトナムは国内面では経済建設に力を入れましたが、カンボジア侵攻による国防強化、食糧生産不振などにより経済情勢は重大な危機を迎えました。

こうした状況を改めるために1986年、第6回ベトナム共産党大会で採択されたのが「ドイモイ(刷新)政策」です。ドイモイ政策とは社会主義路線の見直し、産業政策の見直し、市場経済の導入、国際協力への参画の4点を柱にした政策です。その結果、停滞していたベトナム経済に回復が見られるようになりました。

そして1992年、越中関係正常化を経て1995年、7番目の加盟国としてASEANに正式に加盟。同年アメリカとの国交正常化が宣言され現在に至っています。

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政治

ベトナムは、ベトナム共産党の一党体制による社会主義共和国です。基軸となっているのは「ベトナム共産党が主導し、国家が管理し、国民を主体とする」という考えです。憲法には社会主義共和制であると共に人民主権国家であることが示されています。

ベトナムの社会主義の根底にあるのが「ホーチミン思想」です。建国の父、故ホーチミン主席は、長く植民地支配を受けてきたベトナムが国民自らの手で独立・自由・幸福を達成するための手段として社会主義を採用しました。「ホーチミン思想」を実現するには国民が自由に自らの意見を言え、世界と交流できる必要があるため、社会主義国でありながら柔軟性のある国づくりがなされています。


ベトナムでは、国会・政府・最高人民裁判所がそれぞれ立法・行政・司法を司っています。ベトナムでは伝統的に集団指導性が敷かれており、大統領、政府の長である首相、共産党の長である書記長の3首脳によるいわゆるトロイカ体制がとられています。
ベトナムの大統領は国家元首であり、対内的・対外的に国を代表する国民統合の中心です。国会において国会議員の中から選出され、任期は5年です。首相も大統領と同じく国会により選出され任期は5年です。首相が長である政府は最高の行政機関であり、国家の政治・経済・文化・社会・国防・治安および諸外国との対外的業務等を統一的に管理しています。

ベトナムは社会主義国家であると共に人民主権国家であることが憲法で宣言されています。そして人民の有する国権は国民の最高の代表機関である国会に集約されています。
国会は憲法制定権と立法権を有する唯一の機関です。国会議員は18歳以上の選挙権をもった男女の一般投票によって選出され、任期は5年。議員数は498名で、被選挙権は21歳以上です。

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経済

1980年代後半から、ベトナムは高い経済成長を続けています。90年代後半はアジア金融危機の影響もあり、一時期成長に鈍化が見られましたが2000年以降は再び成長に拍車がかかり、2005年の実質GDP成長率は2004年の7.7%を上回る8.4%を達成しました。この結果、一人当たりのGDPは552米ドルとなり今後も引き続き高い成長が見込まれています。

ベトナムの主要産業は工業と農林水産業です。1990年代以降は工業部門の成長が経済成長の原動力となっており、2005年ではGDPのうち工業が占める割合が41%と最も多く、次いでサービス業38%、農林水産業が20%となっています。主な工業生産品目は原油、石炭、エビなどの水産加工品や牛乳などです。また近年の経済成長で海外からの注目が高まり、サービス業ではビジネスや観光の分野が大きく伸びています。ホテル・レストランなどは重要な外貨獲得源です。

ベトナムは産油国で、輸出額の中で原油が一番大きな割合を占めています。これまでは国内に本格的な石油精製設備を有しないため、原油を輸出して海外で精製し、ガソリンなど石油製品を輸入しなおす状況にありました。このことから現在、ベトナム国営石油企業である「ペトロベトナム」は、ベトナム国内に原油処理能力約14万バレル/日の製油所建設の計画を進めています。これが完成すれば産出した原油を自国で精製することができ、大きな経済的成果を挙げることができると考えられます。
農産物では胡椒の輸出が世界第1位で、コーヒーが世界第2位。タイに次いで世界第2位の輸出量を誇る米も重要な輸出品です。またベトナムの近年の主な貿易相手であるアメリカには縫製品を、日本にはエビなどの水産品を多く輸出しています。

ベトナム経済の大きな転機となったのが1986年に採択された「ドイモイ政策」です。「ドイモイ政策」により、それまで社会主義国である旧ソ連や東欧諸国のみに向けられていた経済活動を西欧に向けることになりました。西欧諸国の資本と技術の導入が積極的にされるようになり、ベトナム経済が新たな歩みを始めたのです。
1992年には日本がODAを再開し、日本企業のベトナム投資の関心が高まります。そして1994年、アメリカがエンバーゴ(経済制裁)を解除し、翌年にはベトナム戦争以後20年を経て国交の正常化がなされました。 一歩一歩確実に経済の国際化を進めてきたベトナム。2007年のWTOの加盟でベトナムは完全に国際経済社会の仲間入りを果たすことになります。これにより今後もベトナム経済の成長に大きな期待が持たれます。 

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金融

ベトナム国内の銀行は大きく3つに分けることができます。中央銀行である「ベトナム国家銀行(SBV=State Bank of Vietnam)」、4つの国営商業銀行、そしてそのほかの民間商業銀行です。中央銀行の「ベトナム国家銀行」は発券銀行であり、政府のための銀行サービスを提供しています。その使命は「通貨の安定と銀行活動と金融システムの安全性・社会主義の目的に添った社会経済発展の追及にある」と国家銀行法の第一条で定められています。

国営商業銀行には「ベトナム外商銀行(VCB=Vietcombank)」、「ベトナム投資開発銀行(BIDV=Bank for Investment and Development of Vietnam)」「ベトナム工商銀行(Incombank=Industrial and Commercial Bank of Vietnam)」、「ベトナム農業地方開発銀行(VBARD=Vietnam Bank for Agriculture and Rural Development)」の4つがあります。現在の銀行業界で大きな比重を占めているのがこの4行で、それぞれに特色を持っています。

「ベトナム外商銀行」

1963年に国営商業銀行として設立。1988年の改革以前はベトナム国家銀行の指導のもと、国内唯一の海外取引銀行でした。改革後は他の銀行や外銀の参入も認められたため独占的地位は失っていますが、ベトナムの金融業界では長い実績から先導的役割を果たしています。
「ベトナム投資開発銀行」

1957年設立で、特色としては伝統的に中長期貸出の占める比率が高く、ホーチミンでの証券決算に関わる資金決算を請け負っています。
「ベトナム工商銀行」

1988年に設立され、民間部門融資の充実をはかっています。
「ベトナム農業地方開発銀行」

1988年の設立。その名の通り、農村や地方に重点的な店舗配置を行い、全国1,500店舗を越える国内最大の支店網を持っています。

これらの銀行は現在政府からのバックアップを受けていますが、2008年までに民営化されることが政府から発表されています。


民間商業銀行は3つに分類できます。
企業や投資家の出資による合資銀行(オリエントコマーシャル銀行など)、外国銀行の支店(アジア商業銀行や日本の大手都市銀行など)、地場銀行と外国銀行との合弁銀行(インドビナ銀行、ビナサイアム銀行など)です。そのほか銀行以外の主な金融機関として国内最大の生命保険会社「Bao Viet」や政府全額出資の公的金融機関「ベトナム開発支援基金(DAF)」などがあります。


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文化

ベトナム人は勤勉を尊び、向上心・向学心が旺盛な国民です。日本人とよく似た気風を持つといわれるベトナムの人々は、自らの伝統文化に支配を受けた中国、フランスなどの多様な文化を取り入れ、独自の文化を築いてきました。

ベトナムの年中行事でもっとも重要なものが「テト」と呼ばれる旧正月。このときばかりは活気に満ちあふれたホーチミンなどの店も長期休暇をとるところが多く、街には静寂が訪れます。旧正月はだいたい毎年1月下旬から2月中旬(旧暦なので日にちは年によって異なります)。テトの時期は家族で過ごすことが一般的で、海外で暮らすベトナム人も帰省することが珍しくありません。テトに欠かせないのがスイカ。「正月とスイカ」は日本人からするとミスマッチな取り合わせですが、ベトナムでは赤は縁起がいい色とされているため、テト前のマーケットにはスイカが積み上げられます。

ベトナムで約1000年の歴史を持つ伝統芸能に「水上人形劇」があります。水上人形劇はその名の通り水面をステージに見立てたユニークなもの(ベトナム語で「水」は「ヌオック」といい、同時に「国」や「民族」という意味も持ち合わせています)。北部の農村が発祥とされ、季節の祭りや収穫を祝うときなどに催されてきました。人形遣いたちは腰ほどの深さの水につかりながら40センチほどの人形を見事に操ります。近年はヨーロッパやアメリカなど海外公演も行われ大好評を博しています。

『青いパパイヤの香り』や『シクロ』などでベトナム映画に触れた人も多いことでしょう。日本でも有名なこれらの映画は、フランス越僑のトラン・アン・ユン監督によって作られました。
ベトナムでは映画は国営映画会社だけで製作されてきたため、国内で作られる作品の多くは戦争の傷跡などのシリアスなテーマをもったものでした。しかし2003年に民間会社での映画の製作が可能になったため、現在ではさまざまな娯楽映画が作られています。
特にコメディが人気で、モデル業界をコミカルに描いた『長い足の女たち』に出演したモデルのイエン・ゴックは海外からも出演のオファーがくる人気です。
また音楽ではロック・ジャズ・伝統音楽を取り入れたポップスが流行しています。若い女性のファッションリーダーとも言うべきミー・タム、若者に絶大な人気を誇るフォン・タインなどが人気を集めています。 

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